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胃がん検診

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日本人に二人にひとりは一生の内にガンと診断される時代です。市民一人一人がガンに対する意識を高め、
定期的な健診や医療機関への相談を心がける事が大切です。

国や市町村が行う健診での受診率やガン発見率は5%と下記に示すように他の臓器と比べてケタ違いの低い数字です。
そして久留米市はこの平均をも下回っています。この事実は胃ガンのもつ性質と検診の受け辛さに関係があります。

ガンはどの臓器にも早期には症状に乏しいものです。特に胃に関しては、食べ過ぎ、飲みすぎ、ストレスなどにより
多彩な症状を呈しますが、市販の胃薬や放置されていても改善してしまうことを多くの人が経験します。
その中で胃ガンかもしれないと心配される人もいると思います。しかし、胃ガンの健診は特定の健診センターに
特定の時期に出向く必要があります。この事が胃ガン健診の受診率の低さと発見率に大きく関係があると思われます。
胃ガンは日本人にとってもっともポピュラーでもっとも怖い存在です。そして、日本は診断、治療共に世界で
もっとも進んだ医療を提供できる国です。胃ガン健診はもっと簡単にいつでも実施できる事が大切です。

当院では、胃の専門医による制度の高い胃ガン検査を日曜祭日を除く毎日実施しています。
血液検査によるペプシノゲン検査、ピロリ菌検査も合わせて行っており、お気軽に電話で相談され予約されてください。
又、胃ガン以外の各種ガン健診も実施しています。ご相談ください。

次に胃・十二指腸の病気について少しお話します。

胃・十二指腸潰瘍

胃壁は、粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜に分けられます。消化管壁の粘膜筋板を超えて組織が
欠損した状態を潰瘍といいます。胃に組織欠損ができた場合は胃潰瘍で、十二指腸に組織欠損ができた場合を十二指腸潰瘍といいます。
いずれもヘリコバクターピロリ(H.ピロリ)感染が第一の原因であることが明らかになっています。

病態

胃潰瘍の好発部位としては胃角の小彎(しょうわん)があげられますが、高齢者になると胃体上部壁に多くなります。
十二指腸潰瘍は、十二指腸球部前後壁に発生するものが大部分です。年齢的にはいずれも中年の方に多いです。
潰瘍の原因としては、古くからバランス説が提唱されています。これは、防御因子と攻撃因子のバランスが崩れ、
攻撃因子のほうが優勢になった場合に潰瘍が生じる説を言います。

しかし最近では、潰瘍は、H.ピロリ感染が第一の原因で、第二にNSAIDsの服用による胃粘膜防御機構破綻が重要であることがわかってきました。
それ以外の原因として、肝硬変による門脈圧亢進、糖尿病、狭心症などによる胃粘膜血流障害、NSAIDs以外の薬剤内服による粘膜障害、
アルコール多飲、ゾリンジャー・エリソン症候群(ガストリン産生腫瘍)、炎症性腸疾患(クローン病など)の胃粘膜病変、
HIV感染や免疫抑制状態による日和見感染、ストレスなどがあげられます。

胃炎

胃に本来存在すべきはずのない炎症細胞の浸潤がみられる状態を胃炎といいます。組織的に好中球を中心とした
炎症細胞浸潤を認める急性胃炎と、リンパ球や形質細胞を中心とした炎症細胞浸潤を認める慢性胃炎とに分類されます。

診察の流れ

診察は、問診と内視鏡検査が主となります。血液検査では異常を認めることは少ないです。胃炎とは、本来は病理組織学的診断名であり、
日常診療では上部消化管造影や内視鏡検査の所見で診断がつくことが多いです。しかし、実際は内視鏡的胃炎が組織学的胃炎と必ずしも
一致していない場合があります。また、胃ガンとの鑑別が困難な場合などは、生検による病理組織検査が必要となります。

(急性胃炎)

ヘリコバクターピロリ(H.ピロリ)の初感染、サイトメガロウイルス感染、NSAIDsの内服、高濃度のアルコール摂取、
刺激性食品の摂取、精神的・肉体的ストレス、アニサキス(寄生虫)、肝硬変などの全身疾患が成因となります。
H.ピロリの初感染などにより急性の炎症が胃壁に生じると、炎症細胞の浸潤がみられます。胃の上皮細胞は脱落して、
びらんや出血が認められます。急性胃炎はほとんど慢性化しませんが、H.ピロリの感染による急性胃炎は慢性化します。

(慢性胃炎)

80%以上はH.ピロリ感染が原因ですが、結核や梅毒感染、食物アレルギーなどで生じる場合もあります。
H.ピロリ感染による胃炎はB型胃炎といわれ、抗壁細胞抗体が陽性となる自己免疫性胃炎はA型胃炎と言われています。
胃の中には胃酸により酸性に保たれているため、一般には最近は生息することができません。一方、H.ピロリはウレアーゼという酵素をもち、
このウレアーゼにより、胃粘膜中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解します。このアンモニアが胃酸を中和するため、胃の粘膜内、粘液と
粘膜の間に生息することが可能となります。このアンモニアから生成されるモノクロラミンやH.ピロリから産生される物質が胃上皮細胞を障害し、
炎症を引き起こすことなどが慢性胃炎の原因と考えられています。これらのH.ピロリによる胃上皮細胞障害が、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、
胃ガンなどの発症にも関係していると考えられます。H.ピロリは基本的に経口感染です。慢性胃炎は、内視鏡所見により、
大きく表層性胃炎と萎縮性胃炎に分けられます。表層性胃炎は、活動性のある初期段階の胃炎であり、粘膜表層部1/3の粘膜固有層に
炎症性細胞浸潤がみられます。萎縮性胃炎は、後期段階の活動性炎症のない胃炎で、炎症性変化が粘膜全層に及んで胃固有腺は萎縮し、リンパ嚢胞が増加します。

症状

急性胃炎は、上腹部痛を主とし、悪心・嘔吐、腹部膨満感、もたれ感、食欲不振など、さまざまな症状が出現します。さらに吐血、
下血などを起こす場合があります。急性胃炎のうち、急激に強い上腹部痛や吐血、下血などの症状が現れ、内視鏡で出血、びらん、
潰瘍性変化が認められるものを急性胃粘膜病変と呼びます。
一方、慢性胃炎では、自覚症状が必ずしもあるとは限りません。症状がある場合は、上腹部痛、悪心・嘔吐、腹部膨満感、もたれ感、
食欲不振などが症状として認められます。

胃ガン

胃粘膜上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。がんの浸潤が粘膜内または粘膜下層にとどまるものを早期胃ガン、固有筋層以深へ浸潤したものを
進行胃ガンと呼びます。胃ガンの発生には多くの因子が複雑に関与しています。遺伝、性別、人種的素因のほかに塩分なども注目されています。
(寒冷地には胃ガン症例が多い)1994年WHOと国際がん研究機関(IARC)はH.ピロリ感染とがん発生に明らかに関連があると発表しました。
H.ピロリ感染は、正常胃粘膜を萎縮性胃炎、腸上皮化生(胃の粘膜が腸の粘膜のような形態に変化すること)へと導き、胃ガン発生母地を形成し、
そこから腺腫や腺がんが生じます。ただし、H.ピロリ関連胃ガンは、そのほとんどが高分化型腺がんで高齢者に多いです。
炎症細胞浸潤を認める急性胃炎と、リンパ球や形質細胞を中心とした炎症細胞浸潤を認める慢性胃炎とに分類されます。

一方、胃ガンのなかには低分化型腺がんや印環細胞がんがあり、若年者や女性に好発する傾向にあります。これらは、
H.ピロリとは別の発がん経路と考えられています。高分化とはがんが発生した組織の正常細胞に近いものをいい、低分化とは
正常細胞とはかけ離れたものを意味します。間質が多いがんの一種で、びまん性に浸潤していくものをスキルス(硬がん)とも呼び、
低分化腺がんや印環細胞がんでみられます。

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